着物の基礎知識

訪問着

入学式・七五三・結婚式など、行事・ライフイベントに一番役立つ「訪問着」

何か一枚、着物を持っていた方がいいかな?と思った時、何をお勧めするか、一つは着る機会が多く、活躍する「訪問着」です。

 

訪問着はわかりやすく言うと、「結婚して振袖が着られなくなった時に着る、一番華やかな着物」です。柄は全て上向きで全体に繋がっている「絵羽柄」になっているのが特徴です。

 

最近は結婚するから、箪笥いっぱいに着物を作って持っていく事も少なくなりました。それよりも、「今度、○○の時に着たいから作る」というスタンスで

必要になったものを順番に作っていただくことをおすすめしています。

 

そして、1回でも多く着て頂くために人生の節目、ライフイベントに沿って、ご説明したいと思います。

 

その1、20~22歳 ― 卒業式の袴に合わせる

卒業式の袴に合わせる着物は、お袖の長さが短い方がバランスが良く、可愛い印象になります。付き添いのお母さまも一緒に訪問着を着て頂くと、一層きちんとした印象になります。
ただ、風習や行事は地域によって異なりますので、各地域・ご家庭に合わせて着ていただけたらと思います。

 

 

その2、20代~ ― 習い事に。初釜に着て行く

一番わかりやすいのがお茶のお稽古。通常のお茶会は独身でも振袖は着ません、一般的には無地を着ます。お正月の初釜は、1年で最初のご挨拶、華やかなお茶会の一つです。先生のご指示にもよりますが未婚の場合は振袖、既婚の場合は訪問着か附下が一般的です。

 

その3、20代~ ― 友人・同僚の結婚式のおよばれに。

結婚したら、振袖が着られなくなります。その時、代わりになるのが一番華やかな着物である訪問着です。ただ、訪問着は未婚・既婚に関わらず、「お出掛け用着物・パーティー着」なので結婚していなくても、訪問着を着ても全くおかしくありません。帯結びはお太鼓ではなく、飾り結びをしてもOKです。

 

 

「結婚・出産おめでとう!」

 

 

その4、お宮参り

結婚して、赤ちゃんが生まれたら…生まれて約1か月後(男の子は31日、女の子は32日目)にするとよいとされているのが「お宮参り」です。自分の住んでいる地域の氏神様に新しく生まれてきた赤ちゃんが健やかに育ってくれるよう「見守ってください」とお願いしに行くのがお宮参りです。

 

赤ちゃんも着物を羽織るので、ぜひ、母・祖母も一緒に着物を着ましょう。その時、赤ちゃんのお母さんが着るのが「訪問着」です。産着(のしめ)を赤ちゃんに掛けて、抱いて連れて行くのは、昔から赤ちゃんから見て、父の母(祖母)が相応しいとされています。(婿養子の場合は逆、つまり後継ぎとして生まれた家の祖母が抱きます)その場合、祖母の着物は母親より、落ち着いたもの(無地やシンプルな附下など)を着るのが一般的です。

主役の赤ちゃんから見て、近い順(母➔祖母)の順に控えた立場に考えて着ていく着物も選びましょう。

 

その5、20~50代 ― 七五三 

子供が成長して、七五三を迎えます。七五三はお宮参りと同様、氏神様に子供の成長を感謝し、これからも健やかに育ってくれるよう、お願いするものです。

 

男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳にします。男女とも3歳は同じ、それは昔、病気などで幼い命が3歳まで育つことが難しかったので、3歳まで育てばもう大丈夫、という意味で神様に感謝する意味が含まれています。また、日本の行事はすべて数え年で行います。ですから、数えの3歳は、満2歳です。

 

その6、20~50代 ― 入学式・卒業式

大切な節目、入学式と卒業式。保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学卒業まで晴れやかな気分で迎える入学式(入園式)と卒業式(卒園式)は訪問着が一番です。品よく、落ち着いていてきちんとした印象になります。

満開の桜の下で、学校の校門の前で、記念写真を撮ると素敵な思い出が形になりますね。訪問着の色は淡いピンク・クリーム・水色・グリーンなど上品な色を着られる方が、優しい母親のイメージになって良いかと思います。

 

その7、ご当家・ご親戚、部下の結婚式のおよばれに。

およばれの時は華やかな訪問着で、出席していただくと会場の雰囲気も明るく、きちんとした印象になるので先方にも喜ばれます。

 

少し年齢を重ねていくと、最初、若い頃に買ったコーディネートでは派手になってくると思います。着物そのものを買い替えるのも一つですが、その前に、顔回り(半襟・重ね衿)と帯締め・帯揚げなどの小物を変えたり帯を落ち着いたものに変えるだけで、とても印象が変わります。

同じ着物と思われないくらい、変化がありますので年齢や季節、会場の雰囲気などに合わせてコーディネートを変えるのも着物の楽しみ方です。是非、お顔映りの変化を見て頂きたいです。

 

また、親族の結婚式では、自分から見た兄弟(2親等)の場合は、色留袖を着るのがベストです。また年齢にかかわらず、他の出席者の方とのバランスで、黒留袖、色留袖、訪問着、附下など、何を着て行くのが失礼に当たらないか立場によって変わってくるので、また別の機会にご説明したいと思います。

 

その8、記念日の装い

成人式のお祝いの写真撮影、結婚記念日、還暦のお祝い、退職のお祝いなど記念日のお食事会やご夫婦・ご家族の記念写真の撮影など、華やかなシーンには訪問着が最適です。

またお仕事、ビジネスシーンでも活躍します。会社の創立記念パーティー、祝賀会、お年始のご挨拶回りなどに着られると花を添えられ、ご出席される方をおもてなしする意味も含まれます。

 

 

* * *

 

これまで、訪問着を着るシーンをご紹介してきました。多くの場面で活躍してくれる着物の一つです。一口に訪問着と言っても、色柄、技法(刺しゅう、絞り、友禅など)も様々です。着物は洋服よりもサイズがないですし、流行も激しくありません。母娘・姉妹で共有することもできるので、1つの組み合わせで終わるのではなく、色んな楽しみ方を知って長く楽しんでいただきたいと思います。

 

(written by 山本千恵子)

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