季節の着こなし
夏の着物を涼しく、美しく楽しむために ~長襦袢の素材選びで暑い季節も快適に~
夏の着物は、透ける素材や涼しげな色合いで、見た目にもとても爽やかです。
着物は「自分が楽しむもの」であると同時に、「見る人にも楽しんでもらえるもの」。暑い夏こそ、涼やかに着物をまとう姿は、周囲に爽やかな印象を与えてくれます。
透け感のある涼しげな素材、風をはらんで揺れる姿、涼しげな色合いなど、夏の着物には日本の季節感を美しく表現する魅力が詰まっています。
でも「実際に着たら暑そう…」と思われがちですが、実は夏の着物には、暑さを和らげる工夫がたくさんあります。
そして実は、着ている本人にとっての快適さを大きく左右するのが、「長襦袢」選びです。
着物の下に重ねて着る長襦袢は、直接肌に近い存在。汗を吸い、熱を逃がし、着心地を整える…まさに夏の着物ライフを支える名脇役です。
また真夏だけでなく、これから秋にかけてもまだ暑い日が予想されます。
例えば、9~10月の結婚式があるお母様だと、黒留袖が袷(冬物)だと、正直、暑いです。中に着る長襦袢や肌着だけでも夏物にして、涼しく着るのがおすすめです。
今回は、そんな真夏や蒸し暑い時期の長襦袢選びのポイントや、素材ごとの特徴、注意点についてご紹介します。
◆長襦袢の素材で、涼しさも着心地も変わる
夏の長襦袢に使われる素材には主に、
1.麻(リネン)
2.絹(シルク)
3.ポリエステル
4.綿(半襦袢)
の4種類があります。それぞれの特徴と、選び方のコツを見てみましょう。

1.麻(リネン)
風が通る、涼しさ抜群の天然素材


夏の定番といえば、なんといっても麻の長襦袢。ダントツ、涼しいのが麻です。
通気性が高く、汗をすぐに吸って乾かしてくれるため、「真夏でも快適!」とリピーターも多い素材です。
とくに着物用の麻は、洋服に使われるリネンよりも糸が細く、柔らかく織られているため、一般的な“ごわつき”のイメージとは異なり、肌ざわりがやさしく、さらっとした軽さが特徴です。
またお家でお洗濯できるので、たくさん汗をかいても安心。次に着る時も気持ちよく着られます。
しわになりやすいというデメリットはあるものの、ナチュラルな風合いを楽しむのも麻ならでは。夏の着物を本格的に楽しみたい方には、ぜひ一枚は持って頂きたい素材です。
2.絹(シルク)
しなやかさと上質さ、肌に吸い付く着心地
絽(ろ:横に穴が開いたものが定番)または紋紗(もんしゃ:下の写真のように柄に織ってある紗)
▼絽(ろ)正絹(絹100%)


▼紋紗(もんしゃ)柄がある紗織り


絹の長襦袢は、着た瞬間から違いがわかるほど、しっとりとした肌ざわりとやわらかさが魅力。麻よりもしなやかで、体の動きにやさしく寄り添い、ふわっと包まれるような着心地が特長です。

光沢も上品で、着姿にも華やかさが出るため、フォーマルな装いにもぴったり。着ているだけで「リッチな気分になる」とおっしゃるお客様も多くいらっしゃいます。
ただし、絹は汗に弱く、黄ばみやすいため、基本的にはクリーニング対応となります。繊細な素材ですが、心地よさや美しさを求める方には非常におすすめです。
3.ポリエステル
洗える・気軽・リーズナブルな実用派


ポリエステル素材の長襦袢は、なんといっても価格の手頃さと、家庭で洗える気軽さが魅力です。ノーアイロンでもシワになりにくく、汗ばむ季節にも「気にせず使える」という点で、初心者にも安心の素材。
一方で、質感はガサガサ・パサパサとした印象があり、麻や絹のようなしっとりした肌ざわりや柔らかさには欠けるのが正直なところ。また、通気性や吸湿性が低く、蒸し暑く感じやすいため、真夏には不快に感じる方もいらっしゃいます。
さらに注意したいのは、ポリエステルと絹など異なる素材を組み合わせた場合、静電気が起きやすく、足にまとわりついたり、着崩れしやすくなることもある点です。
それでも、日常使いや頻繁に洗いたいシーンには、最も気軽に取り入れられる実用的な素材といえます。
4.綿(半襦袢)
洗える・リーズナブルな半襦袢に利用
長襦袢ではなく、半襦袢(上半身、身頃)に使われることが多い綿素材。
普段着として着物をたくさん着る方に人気です。洗濯機で洗っても丈夫で長持ちします。着る時は裾除けと合わせて着ますが、真夏の着物は透ける素材が多いので半襦袢の線がお尻のあたりに出てしまうので、着慣れていない方やお出掛け先によっては要注意です。
また関東以北(関東、東北地方)では半襦袢を愛用されている方が多いのですが、着付ける時には長襦袢の方が断然きれいに着られます。(半襦袢は襟元がブカついたり、抜き襟を綺麗に仕上げるのが難しいです。)ですので、着付けが上達したい方は長襦袢にされることをお勧めします。
◆注意点:着物との“質感の相性”も忘れずに
長襦袢選びでもうひとつ大切なのが、着物との素材の相性「沿い」です。
たとえば、ハリのある着物に、しなやかすぎる長襦袢(例えば、麻の着物に絹の長襦袢など)を合わせると、袖口や裾から出てしまうことがあります。このような状態を「沿いが悪い」と言います。これは見た目もみっともなく、着ていて気持ちよくありません。
特に単衣(ひとえ)仕立ての着物は、生地が薄く軽いため、素材の沿い方(フィット感)による相性の善し悪しが出やすい傾向があります。
そのため、着物と長襦袢の質感・風合いをできるだけ揃えることが、美しい着姿と快適な着心地のポイントです。
また今回は紋紗以外は白の生地を紹介しました。
透け感のある着物を着る場合、一番ベーシックなのは白で透けてもOK!という状態にしておくのがおすすめです。フォーマルでもカジュアルでも兼用できます。
例えば、留袖に着る場合は白に限られます。
逆に透けさせて色の変化を楽しみたい方は、薄いピンク・クリーム・水色・グレー等もあります。
どの素材も産地やメーカーによって、善し悪しがあります。一概にランク付けできませんが、特に麻と絹は産地や品質によって価格が違います。小千谷(おじや:新潟県)の本麻が一番高級品とされ、生産数も少ないため手に入りにくい状況です。ポリエステル・綿はお手頃ですが、こちらもメーカーによって質感の良いもの涼しいものと、バリっとして快適でないものや暑くて好ましくないものがあります。
どの素材でも正直、お値段が安く生地が薄くて、肌着や下着が透けてしまうものもあるので要注意です。
◆ 最後に:夏こそ着物の美しさを感じてほしい
重ね着が基本の着物ですが、工夫次第で夏でも快適に楽しむことができます。
そして、夏の光の中に映える着物姿は、本当に美しく、見る人にも涼しさや心地よさを届けてくれるものです。
「涼しく着るためのアイディアが知りたい」「自分にはどの素材が合うの?」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。実際の商品を手にとってご覧いただけますし、お客様の体質や用途に合ったご提案もさせていただきます。
◆迷ったときは、ぜひご相談ください
「見た目では違いがよくわからない」「どれが自分に合っているの?」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
山本呉服店では、反物の風合いやお手持ちの着物に合わせて、ぴったりの長襦袢素材をご提案させていただきます。プロの目で選別した仕入れをしておりますので、お勧めできないものはおいておりませんのでご安心ください。
また、お持ちの着物に合わせてお誂え仕立てをさせていただいていますので、寸法がわかるようにお持ちいただくと、適切にご提案させていただきます。
夏の着物を少しでも快適に、美しく楽しむために、まずは長襦袢選びから始めてみませんか?
(文・山本千恵子)
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