着物の基礎知識

山本呉服店の想い

【着物の価格について】知っておきたい、販売価格の違い 山本呉服店が「買い取り仕入れ」をする理由

着物の価格って、どうやって決まっているんだろう?
着物を選ぶとき、そんなふうに思ったことはありませんか。

着物は、生地や染め、織り、加工など、さまざまな工程を経て一枚の着物になります。
そして実は、同じ商品でも、販売するお店によって価格が違います。

その理由の一つが、商品の「仕入れ方」です。

山本呉服店が昔から続けている「買い取り仕入れ」について、ご紹介します。

 

 

<目次>

1.同じ商品でも、お店によって販売価格は違います

2.山本呉服店は、昔から「買い取り仕入れ」

3.買い取りだと、お客様にお値打ちにできる

4.実際にあった、仕入れ値より販売価格が安かった話

 

 

「同じ商品なのに、どうして値段が違うの?」

その理由の一つが、仕入れ方の違いです。

着物は、

・どんな絹を使っているのか

・国産の絹なのか、輸入の絹なのか

・どんな生地に織り上げているのか

・どんな染めや織り、刺繍、絞りなどの加工をしているのか

・どんな職人さんが、どのような技術でつくっているのか

など、さまざまな工程によって価値がつくられます。

 

そして、その着物が完成してからお客様の手元に届くまでにも、いくつもの流通があります。

この「仕入れ方」と「流通の違い」が、同じ商品でも販売価格が変わる大きな理由の一つです。

山本呉服店は、創業以来、買い取り仕入れを続けています。

では、なぜ私たちは「買い取り」にこだわるのでしょうか。

その理由を、少しご紹介します。

 

 

 

 

 

山本呉服店は、私の祖父、その前の代、さらにその前から、買い取り仕入れを続けています。

戦時中には、配給をするための認可をいただいていた店でもありました。

「きちんとしたものを、きちんとお届けする。」

そんな商売の姿勢は、今も山本呉服店に受け継がれています。

 

買い取り仕入れをしているのは、全国的に見てもごく一部。

家族経営や一店舗の個性的な専門店は

「自分たちが良いと思ったものを、自分たちで買い取って仕入れる」

という商売を続けている店があります。

全国に何店舗もあるような大きなチェーン店とは違い、品揃えも店によって個性があります。

山本呉服店も、その一つです。

私たちは、「これは絶対きれいに着られるから、お客様にご紹介したい」と思ったものは、自分たちの責任で買い取ります。逆に「全国的に流行っていますよ」とか「今人気です」と言われても、私たちの趣味に合わない物は仕入れません。

 

着物業界では、ほとんどのお店が「委託」販売

現在の着物業界では、大部分が商品を買い取らず、問屋さんなどから商品を預かって店頭に並べる「委託」という仕入れ方をしています。

特に百貨店やチェーン店、振袖専門店などはこうした仕組みが広く使われています。

お店側からすれば、商品をすべて買い取らなくても、たくさんの商品を店頭に並べることができます。

 

委託の商品は「旅」をします

委託商品は、一つのお店にずっと置かれているわけではありません。

問屋さんからお店へ。

↓

売れなければ、また問屋さんへ。

↓

そこから別のお店へ…。

商品が「旅をする」わけです。

 

その間に、

・広げたり畳んだりする

・試着される

・箱に入れて運ばれる

・保管される

・別のお店へ移動する

ということが繰り返されます。

 

当然、その間に汚れたり、傷がついたり、日焼けしたりするリスクがあります。

売れなければ商品は戻ってきます。

つまり、メーカーさんや問屋さんにとっては、商品をつくっても、すぐに現金になるとは限りません。

そのリスクや流通にかかるコスト、現金化されるまでのタイムラグも、商品価格に影響してきます。

 

 

 

 

山本呉服店が商品を買い取るとどうなるでしょう。

メーカーさんにとっては、

商品をその場で売ることができる。
↓
すぐに現金になる。
↓
次の材料を仕入れたり、新しい作品をつくったりできる。

というメリットがあります。

ものづくりをするメーカーさんにとって、これはとても大切なことです。

だからこそ、

「買い取りで仕入れていただけるなら、通常よりかなりお値打ちにします」

という条件をいただけます。

山本呉服店は、売れるかどうか分からない商品を預かるのではなく、自分たちが良いと思った商品を、自分たちの責任で買い取ります。

その分、メーカーさんにもメリットがある。

だから、お互いに良い条件で仕事ができるのです。

 

 

ここで、実際にあった話をご紹介します。

以前、山本呉服店に、全国に十数店舗を展開し、私たちより何倍も大きな売上規模を持つ呉服店の社長さんが見学に来られました。

店内の商品をご覧になり、ある商品の値札を見て、

「これ、下代ですか?」

と聞かれました。

「いえ、お客様への販売価格です」(当然のことですが)

とお答えすると、とても驚かれました。

実はその社長さんのお店では、つい1週間前に同じ商品を、山本呉服店のお客様への販売価格より高い金額で仕入れていたのです。

つまり、

何倍も大きな店の「仕入れ値」より、山本呉服店の「販売価格」の方が安かった。

そんなことが、実際にありました。

思わず私も、

「じゃあ、これ、うちから卸しましょうか?すぐに支払ってもらいたいですけど(笑)」

と冗談を言ったほどです。

山本呉服店は、全国に何十店舗もある大きな会社ではありません。

大量に仕入れて価格交渉をする力があるわけでもありません。

それでも、当店に合うメーカーさんから買い取り仕入れを続け、信頼関係を築き、お互いにメリットがあるお付き合いしてこそ、良いものをお値打ちな条件で仕入れることができるのです。

 

 

山本呉服店が目指しているのは、単純な「安売り」ではありません。

良いものを選び、買い取りで仕入れ、余分な流通コストをできるだけ抑える。

そして、その分をお客様に還元する。

同じものを買うなら、少しでもお値打ちに。

これを、山本呉服店の価格に対するポリシーとしています。

 

 

(文・呉服屋になってから5代目 山本千恵子)

 

 

こちらも参考に

*山本呉服店の想い2
👉 【着物選びについて】着る場所やTPO・格・帯合わせまで一緒に考える、山本呉服店の向き合い方

*山本呉服店の想い3
👉 【着物の仕立てについて】同じ着物でも、仕立てで着姿は変わる|山本呉服店が丁寧にしていること

 

 

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