着物の基礎知識

フォーマル・儀式の着物

日本を代表する友禅「染の百趣 矢野」 最高峰の技が生み出す、一生寄り添う一枚

訪問着や付下げをご覧になっているお客様から、

「千恵子さん、本当に良い友禅って、何が違うんですか?」と聞かれることがあります。

そんな時、私が必ずおすすめする染屋があります。

それが、「染の百趣 矢野」です。

もちろん、日本には素晴らしい友禅の染屋さんがたくさんあります。

それぞれに個性があり、それぞれに魅力があります。

その中でも、群を抜いた素晴らしい技術力で「一生大切に着る一枚を選ぶなら、まず矢野さんをご覧いただきたい。」私はそう思っています。

 

それはブランドだからでも、有名だからでもありません。

初めて作品を見た時の感動が、今でも変わらないからです。

雑誌『美しいキモノ』や『きものサロン』をご覧になる方なら、一度は「染の百趣 矢野」の名前を目にされたことがあるかもしれません。

東京オリンピックでは小池百合子東京都知事が夏の色留袖を

ノーベル賞授賞式では本庶佑教授の奥様・滋子さんが矢野の訪問着をお召しになりました。

人生の節目、日本を代表する舞台で選ばれる友禅。

それが「染の百趣 矢野」です。

 

 

初めて見た時、「全然、違う!」と感じました

実は私は、初めて矢野さんの作品を見た時、

「なんだろう、この品の良さは。」

そう思いました。

華やかなのに派手ではない。

やさしい色なのに存在感がある。

近くで見るほど美しく、少し離れると、さらに美しい。

言葉では説明できない品格がありました。

その理由を後から教えていただいて、「なるほど」と納得しました。

それが、矢野さんの技術です。

 

わずか1ミリにも満たない世界

友禅には「糸目友禅(いとめゆうぜん)」という技法があります。

色と色が混ざらないように、「糸目糊」という糊で境界線を描いていく仕事です。

職人さんは、生クリームを絞るように糊を置いていくのですが、その線はわずか1ミリにも満たない細さ。

想像してみてください。

着物1枚分の反物(たんもの)は約13メートル。

その長い生地に、一本一本の線を均一に描き続けるのです。

少し力が入れば太くなり、弱ければ切れてしまう。

長年の経験と集中力がなければできない、まさに職人技です。

この糸目が細いからこそ、小さな花びらも、細かな古典文様も、美しく表現できます。

私が最初に感じた「品の良さ」は、この積み重ねだったのです。

 

 

美しさを決める、ぼかしの技術

もう一つ、ぜひ見ていただきたいのが「ぼかし」です。

輪郭の内側を数ミリだけ、やさしくぼかしていく。

文章にすると簡単ですが、実際にはとても難しい技術です。

ほんの数ミリの中で濃淡を自然につなげる。

その繊細さがあるから、花びらがやわらかく見え、葉に立体感が生まれ、着物全体に奥行きが出ます。

店頭でお客様に作品をご覧いただくと、

「優しい色ですね。」

とおっしゃる方が本当に多いのですが、その優しさは、このぼかしから生まれているのだと思います。

 

「この柄は、この色しかない。」

矢野さんには「一柄一配色」という考え方があります。

普通なら、人気の柄は色違いを何色も作った方が売れるでしょう。

でも矢野さんは違います。

「この柄が一番美しく見える色は、この色です。」

そう決めたら、色違いを作らない。

私は、この話を聞いた時、とても矢野さんらしいと思いました。

効率よりも、美しさ。

売りやすさよりも、完成度。

だから何十年経っても古さを感じない着物になるのです。

 

 

本当の染屋は、生地に妥協しない

私がもう一つ驚いたのは、生地へのこだわりです。

「染屋だから、染めが良ければいい。」

そんな考え方ではありません。

厚みがあり、打ち込みがしっかりした別誂えの生地だけを使う。

実際に触らせていただいた時、

「やっぱり違う。」

と思いました。

染めだけでは、この着姿は生まれません。

良い生地があってこそ、良い染めが生きる。

その考え方が、作品全体から伝わってきます。

 

夏物の生地の面白み

矢野さんにも夏の着物があります。

小池知事が着られた色留袖は矢野さんが定番で使われている夏物生地「九本絽(きゅうほんろ)」です。

(↑夏物の附下)

九本絽はしっかりした生地なので、透け過ぎず盛夏(7~8月)だけでなく、単衣の時期から長く着られます。

 

また稀に透け感を感じられる、面白みのある生地も用いられます。

実は3日前、完全にフォーマルにならず、少し洒落っ気(カジュアルな雰囲気)があるの附下に出逢いました。

(↑ 夏物、小千谷縮(絹)を使った、カジュアル・バージョンの附下、帯はねん金綴れの夏物:西陣の桝屋高尾作)

 

小千谷縮(この場合は麻ではなく“絹”)を縦縞に織られた独特なシャリ感のある生地を使っています。程よい透け感も伴って、黒地でありながら、深みのある墨色に見え、重たさを感じさせません。

 

そこに染められたのは、花火のようにも、水の流れのようにも見える、すっきりとした美しい柄。

矢野さんならではの繊細な糸目友禅だからこそ、シャープな線とぼかしの美しさが際立ち、見れば見るほど引き込まれます。

紬系の生地なので、フォーマル感が少なく、気軽にお出掛けに着やすい一枚です。

こういった特殊な生地は生地が織りあがったタイミングで染められます。こんな素敵な一枚に出逢えたらとても幸せです。

 

 

人生の節目に、自信を持っておすすめしたい一枚

(↑ 豪華な訪問着ばかりではなく、シンプルな附下も人気です)

 

矢野さんの作品は、大量生産ではありません。

一枚一枚を職人さんが丁寧に作り上げるため、年間に作れる数も限られています。

だからこそ、一枚の着物に漂う存在感があります。

成人式、お子様の結婚式、お孫様のお祝い、ご夫婦で迎える大切な節目…。

人生には、「この一枚を着て良かった」と思える日があります。

私は、そんな日に袖を通していただきたい友禅として、「染の百趣 矢野」をおすすめしています。

写真では伝わらない美しさがあります。

店頭で作品をご覧いただくと、多くのお客様が「思っていた以上でした」とおっしゃいます。

ぜひ一度、本物をご覧ください。

きっと、私が「まず見ていただきたい」と思う理由を感じていただけるはずです。

 

 

(文・個人的には華やかな着物が好きで矢野さんファン 山本千恵子)

 

 

こちらも参考に

*京都「染の百趣矢野」
👉 染の百趣矢野にほれ込んだ理由 -ものづくりへの思いが重なった日-

👉 染の百趣矢野 オフィシャルサイト

 

*スタイリング写真
👉 Instagram 染の百趣矢野 夏の附下

 

【お問合せ・ご相談はお気軽にどうぞ】

山本呉服店では、
ご紹介した商品を店頭で実際にご覧いただけるよう、常にできるかぎりの在庫をご用意しています。

展示会だけでなく普段の営業日でもご覧いただけます。お手持ちのお着物や帯もぜひお持ちください。実際に合わせながら、ご一緒にコーディネートを楽しみましょう。

* お電話 山本呉服店 池田店 0585‐45‐7140
* Mail:reception@yamamoto-gofukuten.com
* 山本呉服店 公式LINE ご相談チャット

店舗紹介店舗紹介

  • 揖斐本店

    揖斐本店

    岐阜県揖斐郡揖斐川町三輪581-1
    TEL:0585-22-0140
    営業時間:9:00~18:00
    定休日:水・木曜日

  • 池田店

    池田店

    岐阜県揖斐郡池田町八幡2580
    TEL:0585-45-7140
    営業時間:10:00~18:00
    定休日:水・木曜日

  • 北方店

    北方店

    岐阜県本巣郡北方町 平成3丁目-74-1
    TEL:058-323-8140
    営業時間:10:00~19:00
    定休日:水・木曜日

  • 京都サロン

    京都サロン

    京都市中京区観音堂町4511
    TEL:075-744-6595
    営業日・営業時間は
    お問い合わせください

お問い合わせ
ご相談は
お気軽に

お問い合わせご相談はお気軽に

商品に関するお問い合わせ、
コーディネート相談、
ご購入の相談など、
お気軽にお問合せください。

お電話で

0585-22-0140

営業時間:9:00~18:00(水・木曜 定休日)

お問い合わせフォームお問合せフォーム