着物の基礎知識

子供の着物

【七五三のお話②】生まれた日から始まる、子どもの着物のお話。「この子の着物」を誂えるということ。

前回は、七五三が子どもの成長を神様へ感謝し、これからの健やかな成長を願う人生儀礼であることをご紹介しました。

今回は、その七五三で着る「子どもの着物」についてのお話です。

実は子どもの着物は、七五三の日だけのために用意するものではありませんでした。

 

 

私も「自分の着物」で育ちました

私自身も、子どもの頃に祖母が誂えてくれた着物で育ちました。

家のすぐ裏に神社があることもあり、七五三は数え年でも満年齢でもお参りをしたそうです。

子どもの私は、七五三の意味なんて分かりません。

皆がきれいな着物を着てお詣りに来るのに、私は普段着…?

「私も着替えて行かなきゃ!」と毎年お詣りに。

楽しみだったのは、千歳飴をもらえること。

着物を着たまま三輪車に乗って遊び、思い切り汚して帰ってきたこともしばしば。

母は、

「やめてーーーー!!!」

と大慌て。

今思えば、その着物は加賀友禅の四つ身。

決して気軽に汚していいような着物ではありません。

母が慌てるのも当然です。

それでも、その着物を贈ってくれた祖母は笑ってこう言ったそうです。

「この子の着物なんやで、いいんやないの。」

その言葉を、私は今になって時々接客をしながら思い出します。

 

 

子どもの着物は、しまっておくためのものではありません

今では、七五三の時だけレンタルをして写真を撮るというご家庭も多くなりました。

それも一つの素敵な思い出です。

でも昔は、生まれた時にその子だけの着物を誂え、成長に合わせて何度も着せ、神社にお詣りしたり、家族でお祝いしたりするのが一般的でした。

着物は、一度きりのためのものではありません。

・お宮参り、お七夜

・お食い初め

・お正月

・ひな祭り

・お祭り

・お稚児さん

・ご親戚の結婚式…。

家族の節目が来るたびに袖を通し、そのたびに少しずつ大きくなる我が子を見つめる。

それが、昔からの子どもの着物でした。

だから肩上げや腰上げをして、身長に合わせて何度も調節します。

子どもの成長に合わせて、着物も一緒に育っていくのです。

 

東海地方では、生まれた時から七歳までを考えていました

東海地方には、少し特徴的な習わしがあります。

赤ちゃんが生まれた時のお祝いとして、最初から四つ身を誂えるご家庭が多くありました。

「そんな大きな着物を?」

と思われるかもしれません。

でも、それには理由があります。

0歳や1歳では着る機会は多くありません。

それなら七歳まで着られる着物を用意し、三歳では大きく肩上げや腰上げをして着せよう。

そんな、とても合理的な考え方だったのです。

 

 

子どもの着物は、成長に合わせて着ます

子どもの着物には、大きく分けて三つのサイズがあります。

※地域によって考え方は異なりますが、東海地方では四つ身を産着として誂えることも多くありました。

 

当店でも、お子様の身長に合わせて

・肩上げ

・腰上げ

を行いながら、その子にぴったりのサイズへ調整しています。

四つ身を三歳で着る場合には、「二段上げ」という方法で美しく着られるよう、調節することもあります。

(↓ 四つ身を3歳の子が着る時の2段上げ お袖も縫い上げします)

 

 

「その子の着物」だから、思い出が残る

私の四つ身は、何度も着て、何度も遊んで、本当にたくさんの思い出が詰まっています。

正直に言えば、もう次の世代へ譲れるほどきれいな状態ではありません。

でも、それで良かったと思っています。

もし「汚したくないから」と片付けたままだったら、あの着物はただきれいなまま残っただけでしょう。

でも実際には、その着物を着て笑って、走って、転んで、大きくなりました。

着物を着た思い出も、家族との思い出も、その一枚に刻まれています。

子どもにとっても、「借りた着物」ではなく、「これは私の着物」という気持ちが自然と育っていたように思います。

 

 

<山本呉服店からひとこと>

子どもの着物は、きれいなまま残すためのものではありません。

その子が何度も袖を通し、家族と一緒に思い出を重ねながら育っていくためのものです。

もちろん、たくさん着れば汚れることもあります。

肩上げや腰上げを何度もやり直すこともあります。

でも、それは大切に着られた証です。

祖母が言った、

「この子の着物なんやで、いいんやないの。」

という言葉の意味が、今になってようやく分かるようになりました。

着物は、しまっておくものではなく、着るもの。

そして子どもの着物は、その子の成長を家族みんなで喜び、思い出を重ねていくための一枚なのだと思います。

 

(文・子供の頃からおてんば…山本千恵子)

 

 

こちらも参考に

*七五三のお話①
👉 生なぜ七五三は「三・五・七」?

*七五三のお話③
👉 女の子 7歳は大人への第一歩

* 七五三が終わったら
👉 十三詣りまで着られるジュニア着物

 

*スタイリング写真
👉 Instagram 7歳女の子 おばあちゃんと記念写真

👉 Instagram お正月に着物を着よう

 

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