着物の基礎知識

子供の着物

男の子の誕生から七五三まで、家族の想いを込めたお祝いの着物 男児熨斗目(のしめ)の意味と準備

男の子の熨斗目 ― 家を継ぐ者の初めての晴れ着

赤ちゃんが生まれて一か月。お宮参りで氏神様にご挨拶する時、最初に袖を通すのが男の子の熨斗目(のしめ、又は一つ身という)の着物です。

男の子の熨斗目には、家の家紋を五つ染め抜きます。

大人と同じ大きな家紋が5つ入る、一番フォーマルな着物です。これは、その子が「家を継ぐ大切な存在」であることの証。小さな体に大きな家紋が入った着物を掛けると、ご先祖様に守られているような、目に見えない力を感じます。

 

しかし、今は「一、二回しか着ないから」とレンタルを選ぶ方も増えています。

けれども本来、熨斗目はその子のために誂え、成長に合わせてサイズを調整(肩上げ・腰上げ)をしながら何度も大切に着るもの。お宮参りだけでなく、七五三、端午の節句、ご親戚の結婚式など、折々の場で袖を通すたびに、お子さまの成長が目に見えて重なっていきます。

同じ着物を3歳、5歳(数え年で行うので実際には2歳と4歳)と着続ける姿は、写真に残すと一層感慨深いものです。

小さな手で着ていたものが、次には背筋を伸ばして立派に着こなす――その変化こそ、ご家族にとってかけがえのない宝物です。

 

◆家紋を入れるということ

今では「うちの家紋がわからない」という方も少なくありません。

けれども家紋は、先祖代々のつながりを表す大切な印であり、「お守り」のような存在です。背中に刻むことで「自分がここにいるのは、先祖が命をつないでくれたから」ということを自然に感じられる瞬間でもあります。

(私たちが普段使っている『平安紋艦』 いろはにほへと…で並んでいます)

 

特に東海地方は、武士の家系が多かったため家紋の種類も豊富です。全国規格の『平安紋鑑』という見本帳にも載っていない独自の紋を持つ家もあり、そうしたお客様の紋をわざわざ型から彫り起こして染め入れることも多いです。

このような文化をお子様に伝え、未来に残していくためにも、「家紋を入れたわが子の熨斗目」を作ることには大きな意味があります。

 

◆一つのものを大切に

熨斗目は、単なる行事用の衣装ではなく、その子の成長と家族の歴史を重ねていく一枚です。

「買っても一度しか着ないからもったいない」と思うのではなく、「同じ一枚を大切に、成長とともに着続ける」ことの尊さを感じていただきたいと思います。

その子のために作った着物を袖に通すとき、きっとご家族にとっても、代々受け継がれてきた“家の絆”を改めて意識することでしょう。

 

◆色柄の選び方と山本呉服店のご提案

熨斗目の色は、黒や紺が一般的で、柄も鷹、兜、竜といった力強い図柄がベーシックです。

赤ちゃん用品のお店にも置かれていますが、山本呉服店では着物専門店ならではの豊富な品揃えをご用意しています。

たとえば――

・深緑(モスグリーン)やグレー、白、ベージュ、藤色など上品で個性的な色

・宝船、宝尽くしの優しい柄、盾・矛といった縁起の良いたくましい柄

・絞りや刺繍を施した格調高い一枚

同じ「熨斗目」でも、選ばれる色や柄で印象が大きく変わります。

大切なお子様にふさわしい、格調高い一枚を選んでいただけるのが、専門店の強みです。

 

また、お宮参りは生まれてから約一か月後にされる方が多いため、ご出産前の下見・お取り置きをおすすめしています。ご出産後にすぐお仕立てや汚れ止め加工に取りかかれるように段取りいたしますので、安心してご準備いただけます。

ご家族の思いを込めた一枚を誂えることが、お子様の健やかな成長を祈る何よりの贈り物になると、私たちは考えています。

 

<準備・段取り>

〇 赤ちゃんが生まれる1か月前くらい
…下見をして土の着物にするか決める(家紋をお聞きする、お見積りのお渡し、とりおき)

〇 赤ちゃんが生まれる
…できるだけ早めに(2~3日の間に)生まれたことをご連絡ください

↓ 加工・仕立てなどに取り掛かります

〇 生後、約1か月までには納品させていただきます
※紋帳にない家紋、特殊な加工がある場合は時間がかかる場合がありますので、着物を決めていただいた時点でお伝えいたします。

 

 

◆七五三で必要な羽織と袴

お宮参りで使った熨斗目の着物は、七五三でもそのまま活用できますが、七五三の正装には羽織と袴が必要になります。

・羽織 … 着物の上に羽織り、こちらにも家紋を五つ入れます。

袴 … 角帯・末広(扇子)・懐剣・お守り・雪駄などがセットになった「袴セット」として販売されるのが一般的です。

袴は3歳と5歳で同じものを使えます。小さい時は高めの位置で着付け、大きくなったら下げて着付けることでサイズ調整ができます。

柄については、もっともフォーマルなのは縦縞の礼装袴ですが、模様で織り上げた「紋柄の袴」もあり、おしゃれに着こなしたい方におすすめです。

素材はポリエステルが主流ですが、より上質なものをお探しの方には正絹(絹)の袴もご用意しております。

こうして熨斗目に羽織と袴を加えることで、七五三の立派な晴れ姿が完成します。

 

 

最後に

山本呉服店は、お客様とご家族の「想い」を形にするお手伝いを大切にしています。
熨斗目は単なる衣装ではなく、ご先祖から未来へと続く絆を結ぶ一枚。

ぜひ、お子様のための特別な着物を、私たちと一緒に選んでいただければ幸いです。
店頭でいつでもご覧いただけます。お気軽に下見にご来店ください。

 

備考

こういった行事は地域によっても風習が違います。また最近は、ご家族みなさまの価値観や状況もが様々になっております。従来の風習では以下の通りでした。

●着物の用意:お嫁さんの実家が用意するのが一般的でした。(婿養子の場合は逆)

●お宮詣り:赤ちゃんから見てお父さんのお母さんが赤ちゃんを抱き、着物をかけ、張り子の犬やでんでん太鼓などの縁起物の飾りをつけ、お詣りしました。

しかしながら、今は様々な事情もありますので「赤ちゃんのためにやってあげたい」と思っていただける方がご用意され、一緒にお祝いできる方と幸せを分かち合えるのが一番良いのではないかと思っています。

(文・山本千恵子)

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