着物の基礎知識

カジュアル・楽しむ着物

動物や昆虫、ピエロの名古屋帯が次々生まれて動き出す? 素敵な染め工場「染匠西原」の工房見学

前回、カジュアルなかわいい小紋や名古屋帯をご紹介した「染匠西原」。

 

*「洋服を卒業したら“ちょっといい日”に選びたい小紋の着物」
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このかわいい染物がどのように生まれてくるのか、工房の様子をご紹介します。

山本呉服店では何度も工房見学に伺っています。普段から西原の小紋や帯に親しんでいらっしゃるお客様もお連れしています。その時には自分のお気に入りの着物を着て行ってもらいます。実際に染められた職人さんに会うのも感動です。

職人さんも自分が染めた着物や帯がどんな方が着られているのか、どんなコーディネートなのか、とっても関心を持たれているので、話に花が咲いて一気に仲良くなれてしまいます。染め方の工夫、苦労したこと、上手にできた自慢話などもたくさんお話ししてくださいます。

 

着物好きには たまらない楽しい時間です。

 

では、京都市内にある西原の自社工場を探検です!

染めの工程順にご説明していきます。

 

1.図案

どのようなデザインにするかイメージして、着物や帯の実寸と同じ白紙に絵を描いていきます。

アイディア出しのとっても大切なはじめの一歩です。

 

2.パソコンで編集

小紋は繰り返しの柄です。1枚の型紙で右から左へ柄が繋がるようにしないといけないので、手前の柄と次の柄が上手につながるように型紙を作成します。

昔ながらの方法だとパソコンは使わず、絵が繋がるようにアナログで紙を繋げて描きますが、西原では若い社員さんが多いのでパソコンを使って編集しています。

 

 

3.色の見本帳

どの生地に、何色を染めるとどうなるか、少しずつの濃度の違う見本帳が作ってあります。

 

少しずつの色の違いが全体になると、大きな雰囲気の違いになるので、配色はとても重要です。

 

4.色の指示

実際にどの色で染めるか、生地の色見本がはってあります。どの部分が何色に染めるか、色番号で指示書が書かれています。

 

4.染料をつくる

上の指示書に従って、色番号と同じ色を作っています。科学の実験室のような感じで、配合する色の量や割合で変わるのはもちろんのこと、加える熱(何度で何分加熱するか)でも色が変わるので、微調整しながら、丁寧に同じ色になるようにします。

 

染料が乾いてくると、色が濃くなってしまうのでできるだけ使い切る量で作ります。

 

5.色挿し

1の図案から、きちんとした下絵を描きます。その下絵を写し取り、糊を置きます。糊は色が隣に染みていかないようにするための境界線(モノクロな線描き部分)。これが友禅の特徴です。

輪郭の内側に筆で一色ずつ、丁寧に色を挿していきます。この場合、薄い青と濃い紺は一緒に塗ってぼかすようにしています。

 

こちらの葉っぱと鳥も同じ要領です。今、色を挿しているのは鳥の青い部分です。手前がこれから挿す、向こう側が終わっている部分です。

 

色をぼかすのも、均一にしないといけません。

乾燥するまでの時間が同じでないと、色が染みすぎてしまいます。生地の下にヒーターがあって均一に乾燥させています。

 

6.刷毛で染める

広い部分を全体的に刷毛で染めます。濃い薄いがないように均等に染めていきます。

着物の場合、13メートル同じ濃度・スピード・強さで動かし続けます。1枚分広げられる長い場所も必要です。

 

 

染め終わると、天井に上げて乾燥させます。

 

7.スクリーンで染める

昔は型紙でしたが、今は大きい面積を抜きたい時に硬いプラスチックの板で型を取るようになりました。私たちは「スクリーン」と呼んでいます。

下の写真は風車の形なのですが、これだけ広い面積が抜けていると、紙だとめくれあがってしまいます。硬いスクリーンが出来たことによって、柄の自由度が高くなり、バリエーション豊富なデザインができるようになりました。

 

糊置き:細かい黒い部分に糊を置きます。この糊の部分だけが染まらないようにする工程です。

 

柄の継ぎ目が合うように丁寧に外して、奥へ送っていきます。

 

天井に上げて乾燥させます。この板1枚で着物1枚を染めます。

 

板にも何に使うのか書いてあります。

スリ上げ、ゴムのみ…ゴム糊しか使ってはいけない。糊はダメ

(糊の種類も何種類かあります。)

 

型紙やスクリーンはきれいに洗って干して片付けます。

上の方:茶色い和紙の型紙(和紙に漆を塗って水に強く、厚くして、柄を彫ります)

下の方:スクリーン

 

刷毛も何色に使うか、きれいに並べて干してあります。

 

道具をとても大切に。

キチンとした仕事をする人はすべての工程に手を抜かない。

 

西原さんの職人さんはとても若いですが、皆さん、確かな腕と熱い情熱の持ち主。

(業界的には職人さんの平均年齢は78歳と言われています)

着物が大好きな方ばかりで、とても研究熱心。明るくて元気な方ばかりです。

自分たちがこれから作っていきたい着物スタイルを追求していらっしゃるので、今後もとっても楽しみな工房です。

 

(文・山本千恵子)

【西原工房見学ツアー】

2025年10月17日(金) 京都駅集合 11:00~ (開催済み)

 

こちらも参考に…

*「洋服を卒業したら“ちょっといい日”に選びたい小紋の着物 染匠西原」
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