2025/04/12
特別な日は牛首紬の訪問着で華やかに、格調高く~ 第48回京裳苑出品「全国の紬」コーナーからご紹介
「着物通は紬に行き着く」と言われます。
軽くて着やすい着心地の良さと、糸作りや織の技法の違いから生まれる、産地ごとのそれぞれの質感の味わい深さからだと思います。一般的に紬は普段着で、格式ばった式典のような場所へは着ていく事がないと思いますが、その中でも一番フォーマル度が高いのは牛首紬の訪問着かなと思います。
今回は第48回京裳苑に出品される紬メーカーさんから、「牛首紬の訪問着」をご紹介いたします。
牛首紬は白生地に染めて柄を付けます。(一般的な紬は、糸を染めて、柄になるように織り上げます)牛首紬の場合は染める先によって、京友禅だったり加賀友禅だったり、訪問着だったり小紋だったり様々です。
今回、撮影したのは本藍染の訪問着です。
「天然灰汁醗酵建本藍染工房こんや」 の作品
国選定阿波藍製造技術無形文化財の指定”新居修”が丹精込めて制作した蒅を使用、京都の本藍染工房こんやにて別染した究極の藍染です。
本藍染めは「ジャパンブルー」と呼ばれ、日本の美の象徴として、国内外で高く評価されています。
藍染めの魅力は、色の美しさだけではありません。長い年月をかけて培われた技術と、自然との共生、人の暮らしに根ざした文化的な価値がたくさん詰まっています。
藍染めの魅力 もっと深くお伝えしていきます。
1.奥深い「藍色」の美しさ
一口に「藍色」といっても、薄い水色から深い紺色まで多彩な表現が可能です。
染め重ねる回数によって、まったく異なる風合いになります。
自然光の下で見ると、時間帯や季節によって微妙に表情が変わってみえます。
2. 経年変化を楽しめる
本藍染めの布は、使い込むほどに色が変わるという特性があります。
洗ったり着たりするうちに、色が少しずつ柔らかくなっていき、まるでデニムのように「自分だけの味」が出てきます。
着物は絹だけでなく、浴衣(綿)にも藍染めするので、長く愛用できるのも魅力です。
3. 抗菌・防臭・防虫作用がある
藍には自然の抗菌成分(インジゴやイソチオシアネートなど)**が含まれていて、昔は火傷や切り傷の治療にも使われたほど。
夏に藍染のシャツや浴衣を着ると、汗のニオイを抑えてくれるとも言われています。
そのため、江戸時代には作業着や赤ちゃんの産着にも使われていたんですよ。
4.すべてが「手仕事」
(↑写真は天然藍染こんやより)
藍染めの工程は、すくも作りから藍建て、染色まで全てが職人の経験と勘に頼る部分が大きいです。
特に発酵の管理は気温や湿度に左右されるため、毎日手を入れて育てるような作業が必要です。その丁寧な手仕事の積み重ねが、あの深い藍色を生み出しています。
5.世界に誇る「ジャパンブルー」
明治時代に日本を訪れた外国人が、その町に広がる藍染の風景を見て「Japan Blue」と称したことが語源です。
現在でも、藍染めは日本の美の象徴として、国内外で高く評価されています。
「一度着たらやみつきになる」と言われるほど、肌触りや着心地が良いのも人気の理由です。
牛首紬の訪問着は紬の着心地はそのままにお出掛けにも活躍する貴重な存在です。
牛首紬は昔から「釘抜き紬」とも呼ばれるくらい生地が丈夫。なのに、とても薄くて軽いので袷にも単衣にも向いています。(釘が刺さっても、生地が破れることなく逆に釘が抜けてしまうくらい丈夫な例え)
所々に節がある絹糸を使うので、味があって愛着も沸きます。写真の様に柄が多くて全体に濃い色に染まっていると節までは見えにくいですが…。
着物が格調高めなので、帯はしゃれ袋帯をあわせるのがベストです。(写真は帯屋捨松のしゃれ袋帯を合わせてあります。)
牛首紬に限らず、京裳苑会場には全国、青森から沖縄まで全国各地の特徴ある紬が揃います。糸作り・染める染料から特徴があり、お話を聞くととても楽しいです。
【出品される主な紬の産地】
北から:こぎん刺し(青森県)、紫根染・米沢紬(紅花紬・白鷹御召・置賜紬:山形県)、塩澤紬・越後上布(新潟県)、赤城紬(群馬県)結城紬(栃木県)、黄八丈・黒八丈(八丈島:東京都)信州紬(伊奈紬・三才山紬・上田紬:長野県)、牛首紬(白山市牛首村・石川県)、丹波布(兵庫県)大島紬(鹿児島県:奄美大島)琉球花織・紅型染(沖縄県)
※産地や生地の特徴により、夏物もあります
【 全国の紬展 】
と き:第48回京裳苑 2025年5月23日(金)~25日(日) 3日間
ところ:京都みやこめっせ
主 催:山本呉服店
是非、京裳苑の会場でご試着ください。
見ているだけでは伝わらない本当の魅力を、纏ってみて肌で感じてください。
ご来場をお待ちしております。
お問い合わせ
ご相談は
お気軽に

商品に関するお問い合わせ、
コーディネート相談、
ご購入の相談など、
お気軽にお問合せください。
お電話で
0585-22-0140
営業時間:9:00~18:00(水・木曜 定休日)
お問い合わせフォームお問合せフォーム